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北条泰時が詠んだ歌「山のはに かくれし人は 見えもせで」 [映画・TV・美術・文学の話題]

朝日新聞に2022.12.29付で連載されていた
「山本みなみの鎌倉からの史」
が大変心に沁みたので
要点をまとめてみた。
元記事はこちら(※たぶん要ログイン)

大河ドラマ「鎌倉殿の13人」の主人公である
北条義時の嫡男・北条泰時が
父・義時を亡くした時に蓮生法師に送った歌
というのが掲載されていた。

  平(北条)泰時
  山のはにかくれし人は見えもせで 
  いりにし月はめぐりきにけり
 (意:山の向こうに行ってしまった人には
  もう会えないが、
  山向こうに沈んだ月は再び巡ってきた)

  返し 蓮生法師
  かくれにし人のかたみは月を見よ 
  こころのほかにすめるかげかは
 (意:亡きお父上の形見として
  月を見なさい。
  あなたの心の中以外に澄んだ月の光を
  見ることはありません)

この蓮生法師こと宇都宮頼綱は、
泰時の祖父・北条時政と牧の方の娘婿。
つまり、泰時から行けば
3親等の「義理の叔父さん」なのだ。

私は
「でも、牧の方って
京都に行っちゃったんじゃなかったっけ? 
その縁者も京都にいるんじゃないの?」
と思ったが、
泰時は義時が亡くなった時、
泰時は承久の乱の戦後処理で京におり、
死に目に会えなかったという。

そう思うと、
同じ京にいた親戚のおじさんに
歌を送って嘆いたのは、
なるほどと合点がいった。

大河ドラマでは
宮沢りえさん演じる「りく(牧の方)」が
坂口健太郎さん演じる泰時に向かって
「ところで、あんた誰?」
と言い、泰時がちょっとすまなそうに
「孫です」
と言って、りくさんが仰天していて
笑いをとるパートがあったが
あの程度には親しくしていたなら
歌を送り合うのもありえる話だ。
(というか、あった)

さらに、
この歌が集録された「新勅撰和歌集」の撰者は
歌人・藤原定家である。
蓮生法師の娘は定家の息子の為家に嫁いでいる。

いろいろと繋がりがあるのね。


承久の乱のこともあり、
京都と鎌倉って犬猿の仲かと思っていたが
実際はこうした血族・姻族のつながりもあり
我々が思っている以上に
武家と公家のつながりは深かったのだろう。

ドラマでは坂東武者の荒々しさが
クローズアップされることも多かったが
実際に上にたつ武士は教養も深かったのだろう。

本当に勉強になる大河ドラマだった。



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hiroko

新年早々歴史のお勉強ができました。
ありがとうございます。
大河ドラマは、ずっと観ているというか、
チャンネルを変えるのが手間で、観るのは
NHKなのです。
      
by hiroko (2023-01-03 01:12) 

ひょう

NHK、なんといっても強い。
horokoさん、今年の「どうする家康」はご覧になっていますか?

by ひょう (2023-01-18 13:19) 

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