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「七十歳死亡法案、可決」 [映画・TV・美術・文学の話題]

最近、タイトルに惹かれて読んだ本がこれ。

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七十歳死亡法案、可決 (幻冬舎文庫) [ 垣谷 美雨 ]
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「七十歳死亡法案、可決」(垣谷美雨)

垣谷美雨といえば、
「もう別れてもいいですか」「うちの子が結婚しないので」
など、ぶっとんだ話題作を書く人だけど
上の作品もすごかった。

何せ、
「70歳に達した人は誕生日から30日以内に死ななければならない」
法案が可決されたというのだ。
そんな法案、実際は通るかいな!と思うが、
ストーリーは可決されたところから始まる。

・・・

そうなると、人はどうなるか。

84歳の姑は法律が施行される2年後には死ぬ。
で、歩行訓練もやめてしまう。
「どうせ、死ぬんだから」

58歳の夫は、定年を残して早期退職してしまう。
70歳までなら退職金と年金で食いつなげる。
それより世界一周旅行に行きたいんだ。
いや、夫婦でじゃなくて、オレがさ。
「どうせ、死ぬんだから」

55歳の専業主婦の主人公は、あと15年。
が、ふと考える。
15年もない。
実際は、姑が死ぬまで
自分は介護地獄から逃れられない。
ああ、姑がポックリ死んでくれないか。
それより何もかも捨てて、ここを飛び出そうか・・・。

そこへ謎の噂が町を駆け巡る。
「70歳で死ななくてもいい『上級国民』になる方法があるらしいよ」
その方法とはつまり、
年金の給付と健康保険・介護保険の利用を辞退し、寄付をすればいいらしい・・・。

・・・

前半のせっぱつまった状況は他人事とは思えず、
ぐいぐいとページをスクロールした。
特に介護の必要な姑のリアリティがすごい。

後半は、主人公が本当に家を飛び出してしまう。
残された夫や子供たちが実母(祖母)の介護に慌てふためく。

最終盤は、これまた
「そんなにうまく行くかいな!」
の連呼で、
リアリティが一気に無くなるが、
前半は予想を裏切る展開で、とても面白かった。

採点:★★★★

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