父への挽歌(2) 棺に入れるもの [肺ガンだった父の話題]
お悔やみコメントを下さった皆さま、
どうもありがとうございました。
まとめてで失礼でございますが、厚く御礼申し上げます。
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葬儀の準備をしている時に、
葬儀社の人から「お棺の中に入れるもの」の説明があった。
故人が愛用していたもの、好きだったものを
入れてあげるという、あれだ。
「ご趣味でお使いのものとかが、いいですね」
父の趣味というのは、家庭菜園で、
ここで採れた野菜を、友人知人に配って
喜んでもらうことだったが
「野菜は…水分の多いものはちょっと」
と難色を示された。
かといって、鍬やじょうろを入れるわけにも…。
ゴルフも多少していたが、ゴルフクラブを入れるわけにも…。
旅行も、年に1度くらいは行っていたが、電車を…。
うーん、
と悩んでいると、葬儀社の人が言った。
「一番、いいのはね、××です」
「××?」
さて問題です、××って何でしょうか?
答えは「手紙」だった。
「お父様に、心をこめて、お手紙を書いて差し上げて下さい。
旅に出られる時にお読みになりますから」
「へー」
「お父様との思い出話など、
お書きになるとよろしいかと思いますよ」
「へー」
で、通夜が終わってから、自宅で手紙を書いた。
かといって、父ちゃんとの思い出話なんてねえ…。
それこそ、今さら過去を振り返って、何になるわけ?
あの人も、そういう性格じゃないし。
で、内容は、通夜の報告書にした。
葬儀の手配の話だ。
遺言どおり、
(1)「香典・供花は一切辞退」
(2)「近い親族と、町内会だけに知らせる。
元の会社関係、友人にも通知はいらない」
(3)「戒名は、院居士はつけてもらわなくていい」
は守ったこと、
それでも、何人かの人が
近所の人づてに伝え聞いて来てくれたこと、
会社へ香典・供花を断った弟に
厚さ10cmを超える弔電の束が届いたこと、
等などだ。
もしかしたら、父は手紙を読んで
「わしゃ、もう死んでおるんだ、
今さらこんなことを書かれても仕方ないわ」
と苦笑していたかもしれない。
いやいや、あのおじさんのことだ、
あの世でも、紙面の最後の行に
「了解しました ひょう父」
と書いているに違いない。
あ、ボールペンも入れてあげればよかった☆
あの世でもコンビニがあるように祈っておこう。
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